Blue Note JAZZ FESTIVAL in JAPAN 2017 (9.23 sat., 9.24 sun.) 開催中止のお知らせ →
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2017 9.23 SAT., 9.24 SUN.
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フェス初出演のドナルド・フェイゲン、そして帯同するバンド、ザ・ナイトフライヤーズの魅力とは?

フェス初出演のドナルド・フェイゲン、そして帯同するバンド、ザ・ナイトフライヤーズの魅力とは?

BNJF2017で記念すべきソロ名義初来日およびフェスティバル初出演を果たすドナルド・フェイゲン&ザ・ナイトフライヤーズ。彼の輝かしい功績を振り返るとともに、注目のザ・ナイトフライヤーズに迫る。

 ドナルド・フェイゲン。言わずと知れたスティーリー・ダンの頭脳である。大学時代からの盟友、ウォルター・ベッカーらとスティーリー・ダンを結成し1972年にデビュー。妖しくサイケデリックなラテン・ロックとでもいうべき「ドゥ・イット・アゲイン」のヒットで幸先のいいスタートを切り、以後、「リキの電話番号」「リーリン・イン・ジ・イヤーズ」などのヒットを放つが、次第にライブ活動から遠ざかり、スタジオ・ワークの粋を究めた作品作りへと活動の軸をシフト。その究極の形となったのが77年のアルバム『彩(エイジャ)』だった。複数のスタジオを1年以上にわたって貸し切り、ジャズ/フュージョン・シーンのトップ・ミュージシャンたちを惜しげもなく投入してレコーディングされた『彩(エイジャ)』は、ミュージシャンシップとレコーディング・テクニックをぎりぎりまで追求した傑作として音楽ファンや評論家から絶賛されることになる。

 その後、スティーリー・ダンは約10年に及ぶ活動休止期間に入るが、ドナルド・フェイゲンは82年に初のソロ・アルバム『ナイトフライ/The Nightfly』をリリース。ラリー・カールトン、チャック・レイニー、マーカス・ミラー、グレッグ・フィリンゲインズ、ジェフ・ポーカロ、マイケル&ランディ・ブレッカーほか錚々たるミュージシャンを贅沢に起用した『ナイトフライ』は、そのハイセンスなサウンドや真夜中のDJに扮したジャケットに象徴される都会的なムードが時代にマッチし、再び大ヒット。折からのAORブーム(小説「なんとなく、クリスタル」をきっかけにAORにハマった人も多かった)と相まって、ドナルド・フェイゲンと傑作『ナイトフライ』は多くの音楽ファンの記憶にしっかりと刻み込まれることとなった。ちなみに、『ナイトフライ』は発売後35年を経た現在も廃盤にはならず、カタログ商品としてヒットし続けている。そして、この8月にはファン待望の紙ジャケット仕様&リマスター音源での再発も!

 そんなドナルド・フェイゲンが、自身の傑作の名を冠したThe Nightflyersなるバンドを率いてブルーノート・ジャズ・フェスティバル・イン・ジャパン 2017のヘッドライナーとして来日することになった。ソロとしての来日は初、日本のフェスへの参加も初めて。しかも、近年のスティーリー・ダンのライブメンバーとはまったく違う、若手ミュージシャン4人からなるザ・ナイトフライヤーズとしてのライブということで、さて、どんな演奏が聴けるのか今からワクワクしてしまうのは僕だけではないだろう。このバンド、どうやらウッドストック周辺で活動するコナー・ケネディ(g、vo)を中心とする4人組で、Connor Kennedy & Minstrelとしてアルバムも発表している。さらに、このコナー君、Cover To Coverと題してリトル・フィートやレディオヘッド、ブラインド・フェイスなどのカヴァー・ライヴも開催、一方でソングライターとしても高く評価されており、ザ・バンドの重鎮であるレヴォン・ヘルムの娘さんでシンガー・ソングライターのエイミー・ヘルムなどとの交流もあるというから興味津々。いわば、アメリカン・ルーツ・ミュージックやクラシック・ロックをしっかり咀嚼したうえで、若い感性でテクニカルな演奏もこなすミュージシャンといったところだろう。

コナー・ケネディ コナー・ケネディ
https://www.facebook.com/connorkennedymusic/
photography = bon jane

 2012年に亡くなるまでレヴォン・ヘルムがウッドストックで定期的に行なっていたライヴにドナルド・フェイゲンも時々、参加していたので、おそらくそこでこの4人の若者との接点が生まれたのだろう。8月から9月にかけてドナルド・フェイゲン&ザ・ナイトフライヤーズとして24本のアメリカ・ツアーを行なった後の来日だから、バンドのアンサンブルも相当練られているはず。ソロとスティーリー・ダンの代表曲はもちろん、「とんでもないサプライズもあるかも」なんてフェイゲン氏は語っているので、彼のファンの方にはぜひ新しいドナルド・フェイゲンを体験してほしいと切に思う次第。2017年の秋、ドナルド・フェイゲンが飛翔する!

ARTISTS|ドナルド・フェイゲン&ザ・ナイトフライヤーズ(9.23 sat.、9.24 sun.出演)

染野芳輝(そめの・よしてる)
音楽ライター。1980年代後半より一般誌中心にロック、R&B、ポップスなど幅広く執筆。スティーリー・ダンとは2003年のアルバム『エヴリシング・マスト・ゴー』リリース時に初めて対面インタビュー。以後、スティーリー・ダン/ドナルド・フェイゲンのアルバムのライナーノーツを担当。

【Blue Note JAZZ FESTIVAL in JAPAN 2017(9.23 sat., 9.24 sun.) 開催中止のお知らせ】

「ドナルド・フェイゲン&ザ・ ナイトフライヤーズ」は、ドナルド・フェイゲン氏の急病により、来日および本フェスティバルへの出演がキャンセルとなりました。フェイゲン氏来日キャンセルを受け実行委員会で検討しました結果、本フェスティバルの開催を中止することを決定しました。
本フェスティバルを楽しみにしてくださっていたお客様には、多大なご迷惑をおかけしますことを深くお詫び申し上げます。

2017年 9月 14日
Blue Note JAZZ FESTIVAL in JAPAN 実行委員会

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